松塾と団体交渉 使用者としての責務をまず果たそう

大阪市内を中心に運営され る個別指導教室「松塾」に10 年以上勤務する講師が、2025年2月に行われた面談以降、一 方的に担当コマ数が削減されたため、その回復を求めて、組合は4月2日に松塾と団体交渉を行いました。
組合からの団交要求に対して塾側は代理人を通じて、 「コマ数は雇用契約上、具体的に決まってない」、「講師として、勤務をしていただけるかは、生徒の希望による」 ため「コマ数を保障することが労働契約の内容とはなっていない」とあらかじめ回答していました。団交には、塾長らほか、 面談に同席していた統括マネージャーも出席していたため、 この間の経緯について十分すぎるほど回答権限を持つ者が揃っていましたが、塾側は代 理人弁護士も出席させました。 組合は代理人ではなく、塾側から直接に回答して欲しい、 弁護士は法律事務の助言に止めるべき、と要求しましたが、 弁護士は「代理人として権限を受けている」として、団交を仕切ろうとする姿勢を示しました。
しかしながら、2月に行われた組合員への面談がどのような趣旨のもので、その結果、 コマ数が極端に減らされた経 過について、詳細に回答できるのは面談に出席していた塾長らであることは明らかであり、彼らが直接に回答するこ とになりました。生徒の保護者が伝えてきたとする指導内容への苦言に基づいて行われたとする面談は、長年、松塾 で働いてきた組合員にとって突然の強い非難であり、驚きのため、ほとんど反論することができなかったものでした。 塾側は面談時に組合員が反論しなかったため、このように団体交渉を要求してきたことに驚いているとしましたが、 本来、使用者側は圧倒的な力を持っています。労働者は団体交渉をすることで初めて労使対等の立場で安心して話せるのです。また、塾側が回答した雇用契約や労働契約の内容は全く不備なものであり、就業規則が周知されていないことを労基署から指導されていることを塾側も認めました。
大阪市内で小中学生の通える塾が圧倒的に少ない地域に塾を立ち上げた経緯について塾長が述べた思いには共感できるところもありますが、今や少なくはない教室を展開する規模とまでなっています。 使用者として労働者を雇う責務を果たして欲しい、そのために弁護士は活用すべきと要求し、今後、作成していくとする就業規則案を組合に示すことを約束し団交を終えました。(ニュース715号より)