大阪府と組合が行っている団体交渉
府立学校(支援学校・高等学校)に関わる問題や市町村全般(義務制学校)に関わる問題について交渉などを行っています。
2018年度に行った主な交渉
① 定期交渉(2018年度)
重点要求項目のやり取りは次のようなものです。
・「運動部活動の在り方に関する方針」をふまえ、教職員の時間外労働をなくすこと
長時間労働の大きな原因の一つとなる部活動指導について、スポーツ庁は2018年3月にガイドラインを策定し、大阪府も「運動部活動の在り方に関する方針」を9月に示しました。方針では、学校種ごとに活動時間の具体的上限を示しつつ、部顧問は活動計画、活動実績の報告を行うこととしています。しかし活動時間の具体的な規制もない中で、書類提出などさらなる仕事が増えるだけではないか、と組合は疑問視しました。それに対して、書類は必ずしも部顧問が作成するものではなく、児童・生徒に作成させても良い、様式は自由であり負担を増やすものではないとしました。また、府教委へ各学校から報告を出すことまでは指示していないとしていることから、問題解決に向けての責任が欠如しているとしか言いようがない回答でした。
各学校、各市教委でこの方針に即した指示が出されています。すでに、書類仕事ばかりが増えて負担が増しただけであるという声も聞かれています。
・特別休暇(災害・危険回避)の適用を実態に合わせて拡充すること。
2018年度は、北部地震、台風など災害を理由とする学校休業が相次ぎました。交通機関の運休予告や学校が前日に休業を決定するなど新たな対応があるなか、現在の特別休暇(災害、危険回避)では、通勤時、帰宅時における事態しか対応していません。大阪府は民間企業には「帰宅困難者」を出さないようガイドラインを示しているにもかかわらず、大阪府の職員には全くその手立てが示されていないと追及した結果、社会情勢の変化に対応されていない事実については認め、検討が必要であるとの認識をやっと示しました。
その後、府教委は特別休暇(危険回避)の取得について、今後、教育委員会から学校長あてに特別休暇を付与するための通知を行わず、当該職員と各学校で判断するものと変更しました。災害はないに越したことはありませんが、職場の管理職がどのような判断力を示すのか試されています。
・「障害」のある教員の採用をすすめ、「障害」のある教員の採用枠をさらに拡大すること。また、「障害」のある教職員にとって働きやすい職場となるよう、サポート体制を充実させるための人員配置などを含めた環境整備について特段の配慮を行うこと。
官公庁で障害者雇用率を達成しているように見せかけるため、あらゆる水増しが明らかになった中、府教委においてはそのような水増しは存在しないと回答したと報道されました。組合は、雇用している「障害」のある教職員数の把握方法など明らかにすることを求めました。すると、その把握方法は官公庁で問題とされた、手帳等の提示を必要としない「自己申告」であることがわかりました。採用枠の拡大は法定雇用率の達成状況とも関わることです。引き続き追求していくべき課題です。
・中学校の支援学級において、免許外の教科を教えないように指導すること
中学校の支援学級在籍生徒への個別授業が、当該科目の免許を持たない教員によって臨時免許の申請もなく行われている実態について府教委に正しました。府教委は、免許教科外教科担任許可制度を設け、このような事例に対しては、校長と当該教員が連名で申請することで許可されるとしています。しかし、多くの学校でこのような申請が行われてはいません。また、府教委は「特別な教育課程」による生徒であれば構わない、と回答しましたが、「特別な教育課程」とは何であるのか説明しきれませんでした。「障害」のある生徒だから、英語の教員が数学を教えても、美術の教員が体育を教えても問題とならないなどというのは、私たちの労働を軽視し、生徒の学習権をないがしろにしています。教員の労働条件の問題だけではなく、広く府民に知ってもらいたい問題です。
② 「会計年度任用職員」に関する団交
大阪府は、現在、特別職の地方公務員と位置付けられている非常勤講師をはじめとする16種の非常勤職員を、地公法に新たに設けられた「会計年度任用職員」と位置付け、労働条件を変更しようとしています。
団交では位置付け変更に伴い多くの労働条件が変更することが示されましたが、現にある地公法に合わせた形になるのだから提案事項ではないとする府・府教委との間で議論が平行線となりました。また、位置付け変更それ自体は義務的団交事項ではなく、決定事項であると回答したため、この件に関して組合は団交拒否の不当労働行為を府労働委員会に申し立てています。
現在1コマあたりで設定されている非常勤講師の勤務時間を、2020年度からは授業の前後を含めて60分とするなどの変更事項を参考資料としてのみ提示しています。
組合は現在のコマ払いを前提とした非常勤講師の働せられ方も問題と考えています。それなのに、使用者にとって都合よく前後の数分を勤務時間とするという解釈は納得ができません。団交を継続しています。
③ 時間外労働上限に関する団交
「働き方改革」の一環として労働基準法改定より、時間外勤務の上限時間が設定されました。学校における教職員の「時間外勤務の上限規制」についても2月18日、 組合に提案され3月14日に交渉しました。
給特法により教員に命じられる時間外勤務というのは、臨時的でやむを得ない場合に限る超勤4項目に限定されています。府の提案が指し示す時間外勤務はこの超勤4項目に基づく勤務であるとしました。しかし、この超勤がどのように把握されるのかについては回答できず、勤務の割振が行われているのであるから、時間外勤務は存在しないとしています。公立学校で働く教職員は行政職、技能職を除き36協定の締結対象ともされておらず「働き方改革」とはいったい何なのか、今後も追求していきます。